外壁塗装は、安い買い物ではありません。100万円を超えることもめずらしくない工事を、「どんな人がやるのか分からない」まま任せるのは、施主にとって大きな不安です。
リステップで部長を務める鈴木さんは、塗装一家に生まれ、住宅から橋梁・タンクといった鉄骨塗装まで幅広い現場を渡り歩いてきた職人です。命の危険を感じた現場の話も、奥さんとの昼飲みの話も、同じ温度で淡々と語る。その等身大の人柄に、今回じっくり話を聞きました。

「遊んでるなら明日からこい」——塗装の道に入るまで
鈴木さんは塗装の道に入る前、電気関係の仕事をしていたといいます。
「もともと最初は電気屋をやってて。で、行かなくなって、家でプラプラしてた時期があったんですよ」
転機は、知り合いに足場を手伝ってほしいと声をかけられたこと。塗装をやりに行ったわけではなく、お世話になっていた人の一軒家を手伝いに行ったのが始まりでした。そこの社長に「遊んでるなら明日からこい」と言われ、そのまま塗装の世界へ。16歳ごろのことだったといいます。
そもそも鈴木さんは、塗装が身近な家庭で育ちました。
「うちは家計がもうペンキ屋で。親父の方の親戚は、男がみんな塗装屋なんですよ。おじさん全員ペンキ屋だった」
地元は福島。学生時代に一度茨城へ移り、その後また福島へ戻り、震災をきっかけに再び茨城へ。リステップの社長やスタッフとは小学校が同級という縁で、「こっちで一緒にやろうぜ」と声をかけられたのが、いまにつながっています。
「やったら楽しかった。それで今がある、って感じですね」
ここは譲れない——「下地」と、正当な対価でちゃんとやること
「ここは絶対に手を抜かない、と決めていることは?」と尋ねると、鈴木さんの答えはシンプルでした。
「普通に、手を抜かない。それだけ」
当たり前のように言いますが、その「当たり前」が他社と差を生みます。手を抜くというのは、たとえば塗る回数を減らすこと。雨どいのような細かい部分のケレン(下地を整える作業)まで、きちんとやるかどうか。
「来て思ったのは、自分が職人でやってた時は、雨どいなんてケレンしたことなかったんですよ。リステップは、そこまでちゃんとやるんだなと」
そして鈴木さんが一番大事だと語るのが、下地調整です。
「やっぱり下地調整。綺麗に洗って、下にちゃんとやる。上塗りをするまでの工程ですよね。でも、お客さんからは見えないですから」
仕上がりは上塗りしか見えません。だからこそ安いほうがいい、となりがちですが——なぜ手を抜く職人が出てしまうのか。鈴木さんはその構造をはっきり言葉にします。
「手を抜く人って、結局どこかの下請けで、お金が出ないから。抜くしかないんですよ。それが嫌だから、自分らで仕事を取って、ちゃんとした仕事をしようよ、と。それなりの金額もいただきましょうよ、と。それがここを始めたきっかけなんです。だから、うちは下請けはやらない」

「上手い職人」とは何か、という問いにも、鈴木さんの考えははっきりしていました。
「スピードだけの人を、俺らはスピードスターってバカにするんだけど(笑)。ローラーになって、塗るだけなら誰でもある程度できる。でも、細かいところに気が付く人。目配りができて、こう進めたほうが無駄がないよね、って自分で考えて動ける人。それがいい職人だと思う」
だから後輩への教え方も、1から10まで手取り足取りはしないといいます。自分で考えて動ける職人に育ってほしい。多少間違えても、考えた跡があればそれでいい、と。
命の危険もあった——福島の鉄骨塗装
鈴木さんが福島時代に経験したのは、住宅だけではありませんでした。海沿いの地域で鉄骨塗装の現場が多く、水圧管・タンク・橋梁・煙突といった「鉄」の仕事を数多くこなしてきました。記憶に残る現場として、まず挙がったのがダムの水圧管です。
「ダムから山の下まで、直径1メートル五、六十センチくらいの配管が、何百メートル、何キロと続いてるんですよ。立ってられないくらいの勾配。そこにロープを上から垂らして、引っかけて、自分で少しずつ下げながら塗っていく」
安全装備は腰ベルト一本にフック。背中には一斗缶を背負い、上で塗料を作って、塗りながら降りてくる。サビをサンダーで全部落とし、何度も塗り重ねる——住宅では到底味わえない現場です。
さらに壮絶だったのが、ガソリンタンクの内部塗装でした。
「夏場、タンクが空になるタイミングで内部を塗るんです。サンドブラストで古い塗膜を全部剥がして、放水車で水洗いして。中は60度くらいになる。防毒マスクをして、吹き付けながら汗だくで塗る」
そのなかで、命の危険に直面します。
「中で倒れかけたんですよ。酸欠と暑さで。有機溶剤で酸素がなくなっちゃって。一人作業じゃなかったから、ロープを持ってたやつが走ってきて、引きずってマンホールから出してくれた。もうちょっと遅かったら、死んでたかもしれない」

ほかにも、断熱材を巻いたタンクをゴンドラで塗った現場も。ゴンドラがタンクにぶつからないよう、片足でタンクを押さえながら、もう一方でボルトを塗っていく。高さは30メートルほどあったといいます。
「高いところは好きじゃないから、ゴンドラは嫌だったけどね」
建築塗装も鉄骨塗装も両方できる職人は、茨城ではあまりいないと鈴木さんは言います。刷毛も吹き付けもローラーも養生もこなし、サンダーやケレンといった鉄骨の下地処理も身につけている。その幅広さが、いまの仕事の土台になっています。
プロだから分かること——「会社は選べても、職人は選べない」
施主が「知らずに損している」と感じることはありますか、と尋ねると、ちょうど前日に訪れた水戸の現場の話が出てきました。
「水をかけたら、もうビチャビチャで。中まで水が回って、腐っちゃってた。コーキングの劣化を放置してたみたいで。ちゃんとやってれば、こんなことにはならなかったよね、っていう。オーナーさんも何もやってなかったので。いま保険で対応できないか、ってもめてるんですけど、経年劣化だから難しい」
放置がのちのち大きな出費につながる——これはプロだからこそ見えるリスクです。
そして鈴木さんが、いまの発信のあり方について語った言葉が印象的でした。
「損してる、っていうとね……職人って選べないんですよ。会社は選べるけど、職人は選べない。いい職人が来るのか、入ったばっかりの子が来るのか、分からないでしょう。美容室と一緒で、有名な店に行っても、その有名な人が担当してくれるとは限らない」
だからこそ、鈴木さんはリステップが始めたSNS発信に共感しています。
「いまSNSを少しやり始めたけど、職人の顔が売れてくれば、『この職人さんにやってほしい』っていう人が出るかもしれない。指名料があってもおかしくないと思うんですよ。お客さんも、動画で見た鈴木さんが実際に現場に来たら、説明不要でしょう。こっちも楽だし」
仕事は仕事でちゃんとやる。オフはオフで和気あいあいと。そんな人間性が見える発信のほうがいい、と鈴木さんは語ります。お客さんが「ここに頼みたい」と思い、若い人が「この会社で働きたい」と思う——その両方につながれば、という考えです。
もし、家族の家を頼まれたら——一番大事にするのは「対応」
「もし自分の家族や親戚の家を頼まれたら、どこを一番大事にしますか?」
技術、という答えが返ってくるかと思いきや、鈴木さんが挙げたのは違いました。
「技術は……信用して頼んでくれてるんだから、当たり前。一番気を使うのは、対応かな。周り、近隣に対して」
工事をする家が、近所から恨まれないように。これが鈴木さんの考える「対応」です。
「足場を組むと、車を止められなくなりますよ、駐車場を借りますか、って話をする。工事のせいで、あそこの家のせいで迷惑かけられてる、って近所に思われたら、その家の人がかわいそうじゃないですか。俺らは仕事が終わればそれまでだけど、住んでる人は引っ越せないんだから。ずっとギスギスしたままだと、かわいそうでしょう」
施主のその後の暮らしまで考える。これも、長く現場に立ってきた職人ならではの視点です。
やりがい、そしてリステップというチーム
この仕事の面白さは、と尋ねると、鈴木さんは少し考えてこう答えました。
「経験もそうだし、人もそう。いろんな人に出会えたし、いろんな経験をした。全部が蓄積されてる。まあ、天職……なのかな」
会社の雰囲気についても、率直に語ってくれました。
「雰囲気はいいほうですね。上下関係もそんなにきつくないし、ある程度伸び伸びできる。人が嫌で辞める、っていうのはあんまりないと思う。ただ、暑い・寒いとか、休みが少ないとか、そういうキツさはありますよ」
良いところもキツいところも飾らずに話す。その正直さが、かえって信頼できる印象を残します。
休日は、奥さんと昼飲み
オフの鈴木さんは、どんな人なのでしょうか。
「最近は、嫁さんと昼飲みしてるかな。日曜日に。11時、12時ぐらいからちょこっと飲んで、夕方には帰ってくる。夜まで飲むより楽だし。次の日もあるから」
藤代駅まで子どもに送ってもらって出かけることもあるそう。結婚して、今年の12月でもうすぐ30年。付き合った期間を入れれば、15歳のころからの付き合いになります。
「それだけ一緒にいて、休みの日まで一緒にいるんだから(笑)。喧嘩はするけどね」
長く連れ添った夫婦が、いまも休日を一緒に楽しんでいる。そんな話を、照れながらも嬉しそうに語る姿が、鈴木さんの人柄をよく表していました。
これから頼もうか迷っている施主さんへ
最後に、これから外壁塗装を検討している方へ、一言をお願いしました。
「本当に、安い買い物じゃないですから。だいたい3桁、100万円を超える。それを『安いところ、安いところ』って探して、変な仕事をされるくらいなら、普通の値段を払って、ちゃんとやってもらったほうが、後々得じゃないかなと。そこに尽きますね」
「ネットで安いものを買ってすぐ壊れて、最初からちゃんとしたメーカーのを買えばよかった、ってなるのと一緒。安いから、っていう理由だけで変なところに頼まないほうがいいと思います」
正当な対価で、ちゃんとした仕事を。下地から手を抜かず、施主のその後の暮らしまで考える。鈴木さんの言葉の一つひとつに、リステップが大切にしている姿勢が表れていました。
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