
外壁塗装の現場に立つ前は、ずっと足場の職人だった川崎さん。国家資格である1級とび技能士を持つ「高所のプロ」が、ここ2年ほどは塗装も手がけています。20数メートルの煙突足場、台風の中の高所作業――聞けばヒヤッとする話を、どこか面白そうに語る。けれど話の軸はいつも「技術」ではなく「人」。そんな川崎さんに、この仕事の入り口から、今思うことまでをうかがいました。
「高いところがかっこいい」から始まった
――もともと、どういう流れで足場を始めたんですか?
「同級生のお兄ちゃんが、9歳上で。『手伝ってよ』って誘われて、そこからずるずる(笑)」
足場を始めたのは27歳。職人としてはやや遅めのスタートだったといいます。きっかけを正直に振り返ると、動機はとてもシンプルでした。
「やっぱり、見た目から入ったから。高いところにいるやつ、かっこいいなって」
最初のモチベーションが高かったぶん、現場のきつさも「筋肉痛だな」と思うくらいで、嫌になることはなかったそう。早く上に上がらせてもらえるのも嬉しくて、「高いとこ行って、これ見ろ、って。意外とそういうところあるんですよ」と笑います。不純な動機、と本人は言いますが、向いてるかも・面白いなと感じられたのは、この入り口があったからこそでした。

譲れないのは「人柄」
――足場をやってきて、自分の中で「ここは大事にしよう」と決めていたことは?
返ってきたのは、施工の話ではありませんでした。
「足場はあんまり(施工面は)関係ないけど、施主さんとの絡み。少しでも和やかに、朗らかに」
近隣への挨拶回りも含めて、施主さんや近所の人とどう関わるか。そこを大切にしている、と川崎さんは言います。この姿勢は、塗装に移ってからも変わりません。
――できる職人と、そうでない職人の差は、どこに出ると思いますか?
「技術面は、正直その人の器用さもあるからしょうがないにしても……足場のときと一緒かもしれないけど、大前提で人柄が悪ければ、うまい仕事をしてても印象が悪い。逆に、ちょっと不器用でも人柄がよければいい職人さんになる」
「人柄は、何をやるにも大切なのかなって」
技術が上手いことと、いい職人であることは、必ずしもイコールではない。川崎さんの中では、そこがはっきりしているようでした。
記憶に残る現場――煙突足場と、台風の高所作業
――今までで一番、記憶に残っている現場は?
足場のほうで一番に挙がったのは、高萩の工場の煙突足場でした。
「20数メートルの煙突の足場を、3〜4人で。それを真夏に、ひたすら材料を上げて、ひたすら組んでいく」
普通の住宅とは勝手が違う、と川崎さん。
「煙突だから、上にいくほどこう、絞ってくるんですよ。だから知識と技術がいる。毎回聞いてたら仕事が進まないから、瞬時に反応して指示を出して、臨機応変にやっていくしかない」
だからこそ、現場に行ったのは個人の能力がある仲間だけ。[要確認:同行メンバー名(文字起こし上は「岩瀬」「直也君」と聞こえるが要確認)]と少人数で挑んだといいます。「それが一番残ってるかな」。
塗装のほうで挙がったのは、つい直近の現場でした。
「15階建ての、台風の中の拭き取り掃除。あれが一番かな」

聞けば、もともと予定にない作業だったところ、検査の流れで急きょ始まったイレギュラーな現場。建物の高さはおよそ40メートル[要確認:正確な階高・建物高さ]、近くには霞ヶ浦があって風が強い。その中を、脚立に乗っての作業です。
「降っては洗い、降っては洗い……天然の高圧洗浄ですよ(笑)」
強風・大雨の中、脚立の上で煽られながらの作業。一歩間違えれば大事故になりかねません。それでも川崎さんは、
「本当にそんなのを、ちょっと面白いと思っちゃう自分が、ちょっと気持ち悪い(笑)。スリルですよね。足場もその一種かな」
「現場仕事をやってきた中で、足場でもなかなか体験できない。台風の中でやるって、普通ないですもんね」と振り返ります。
プロだから分かる、「放置」の代償
足場の職人だった頃は、こうは思わなかった――川崎さんはそう前置きします。
「足場をやってるときは、本当にそんなこと全く考えない。ただ行って、『すごいなあ』って言いながら足場をかけるくらいで」
ところが塗装で現場を回るようになって、見方が大きく変わったといいます。
「金額は高いけど、定期的にやってないと、部分的にでも、とんでもないことになる」
実感のきっかけのひとつが、奥さんの実家でした。
「嫁さんちの実家が、築30年代後半で全く手をつけてなくて。『手をつけないとこうなっちゃうんだな』っていう状態で」
築30年、40年でも、それなりに手入れをしている家はそんなに傷んでいない。けれど放置すると、いざ直すとなったときに全部剥がす手間が増え、結果的に費用がかさむ――「だから、結果的に損してるってなっちゃう」。
象徴的だったのが、水戸の美容室の例です。コーキング(シール)が切れて、台風のときに雨水が壁を伝って室内まで入り込んでいた。
「壁が暴れちゃって、バタついて。もう、ポタポタとかのレベルじゃない。バチャバチャ入ってきてる」
「保険で直せないか」と相談されたものの、経年劣化では難しい。本気で直すなら中まで剥がして工事レベル、「200万でも足りないかも」という規模になっていたといいます。
「『なんでこうなるまで放置したの?』って話で。問題が起きてから応急処置で、っていう人は結構多いんですよ」
もし、家族の家を頼まれたら
――もし自分の家族や身内の家をやるとしたら、何を一番大事にしますか?
「難しい質問ですね……見切り、っていうんだっけ。サッシの前のラインを、しっかりまっすぐ出すかな」
終わったあとにパッと見て、ラインがまっすぐ通っているか。ガチャガチャしていない、きれいなライン。塗装をやらないと気にならない部分かもしれない、と川崎さんは言います。
「塗るのは、多分(誰でも)塗れる。下地をきれいにして2回3回塗れば、だいたい綺麗にはなる。でも、違いが出るのはそういう細かいところ」
そして、地味だけれど効いてくるのが養生と掃除だといいます。
「いかに掃除を少なくするか。最初に養生をしっかりやる。1か所なんかすると、あとで『あっ』てなるんですよ」
最初の手間を惜しまないことが、結局は仕上がりと後の楽さにつながる。やってみて初めて、その大切さが身にしみたそうです。
やりがいと、「リステップ」というチーム
――この仕事をやってて良かった、面白いと思うところは?
「正直、施主さんとの絡み。今の現場も、毎回お茶を出してくれて、外でいろいろ話して。『辛いの好き』って言ったら、辛いのを毎回買ってきてくれたり」
なんでもない話をずっとしている。せっかく出会ったんだから、現場が終わったときに気持ちよく「ありがとう」と言い合える――そんな関係を自然に作れたらいい、と川崎さんは言います。
「塗装は一日だけじゃないから。毎日会うぶん、印象が悪くなっちゃうと、そこでダメになっちゃう」
足場と塗装、やりがいで言うとどちらか――そう尋ねると、こう答えてくれました。
「ちゃんと段階を踏めるのであれば、塗装のほうが。いろいろ考えながらやるしかないから」
「足場って、バラしたら『なんか明るくなったね』『邪魔者がなくなって良かった』で終わりがちなんですよ。でも塗装は、『明るくなった、ありがとう』って言ってもらえる」
修繕も見様見真似でできるようになり、知識が増えた実感もある。「今後、いろいろできるようになるのかな」と前を向きます。
――会社、リステップの雰囲気はどうですか?
「最高だよ(笑)」
冗談めかしつつ、語られる中身は誠実でした。みんなよく喋るし、威圧的な人や、暴力・怒鳴り散らすようなこともない。伸び伸びと働けて、相談もできる。「足場屋さんのイメージよりはいいですよね」。
もし辞めるとしたら、人間関係ではなく、仕事そのもののきつさだろう、と川崎さんは正直に話します。暑さ寒さ、休みの少なさ――そこは隠さない。それでも、相談できる環境があることが、この仕事を続けられる支えになっているようでした。
休みの日は、畑へ
――休みの日は、何をしていることが多いですか?
「畑やってます。毎週、毎週(笑)」
今の時期に育てているのを挙げてもらうと、止まりません。ブロッコリー、キャベツ、キュウリ、ピーマン、トウモロコシ、オクラ、大根、にんじん……。
「同じ大きさ、同じ長さに揃えるのも、やっぱり技術なんですよ。やらないと分からない」
細かったり、妙にでかかったり。野菜づくりにも”仕上がり”へのこだわりがにじむのが、なんとも川崎さんらしいところ。畑をやらないときは、釣りに出かけることもあるそうです。
これから頼む施主さんへ
最後に、これから頼もうか迷っている施主さんへ一言をお願いしました。
「せっかくお金を払うのであれば……そのときケチって2回目をやるなら、一回で長くもたせるほうがいい。気持ちはすごく分かるけど」
「どうしても、安ければ安いなり。家でも車でも、そうじゃないですか」
もちろん、ぼったくりのような高い業者で、という話ではない。けれど世の中には悪い業者もいる。だからこそ――
「お金がすべてじゃないけど、どうしても悪い人もいるから。そこの見極めは、難しいですけどね」
技術の前にまず人柄、という川崎さんらしい締めくくりでした。
外壁・足場のことは、リステップへ
「問題が起きてから」では、費用も手間も大きくなりがちです。気になるサインがあるうちの早めの点検が、結果的にいちばんお得になります。
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